ATOM Cam 2 を有線LANでPoEで使うには

ATOM Cam 2は、カメラ内に2.4GHz帯の無線LANを搭載しています。

そのままの状態でも、暗視性能が高いので、都会でも星空や流星の観測には十分使えるのですが、私の場合は下記の点を改良したいと思いました。

  1. 北海道の建物はガラス窓が2重サッシになっていて、ベランダへの電源の配線が大変です。バッテリー駆動では限界がありますし、賃貸ではエアコンの穴などもなるべく変更したくありません。LANケーブルであれば、市販のすきまケーブルを利用して何とか配線できそうなので、電源をPoEで給電するようにしたいです。
  2. 搭載されているレンズとセンサーの組み合わせは画角が120度あり、ベランダの前にある明るいマンションがどうしても入ってしまいます。星の観測では邪魔なので、もう少し画角を狭く、レンズ焦点距離を長くしたいです。
  3. 搭載されているレンズはM12 マウントレンズ (Sマウントレンズ)という規格のもので、色々な焦点距離のレンズが入手可能です。ただし、ATOM Cam 2は無線LANの技適(工事設計認証 211-210430)を製品として取得しているので、分解・改造などをすると技適が無効とみなされます。

    電波法第38条の7(抜粋)
    第3項 第1項又は第38条の35の規定により表示が付されている特定無線設備の変更の工事をした者は、総務省令で定める方法により、その表示を除去しなければならない

ATOM Cam 2においては、これまで色々なhackが行われてきました。

まず、bakueikozoさんが、atomcam_toolsとして、ATOMCam2の機能を拡張するツールキットを開発・公開してくださいました。
bakueikozo/atomcam_tools_obsolute
また、bakueikozoさんは、ATOM Cam 2を有線LANで動作させるための基本部分の解析も行われました。
ATOM Cam2にUSB-Ethernet変換アダプタを使って有線LANで使用する

さらに、オリジナルのatomcam_toolsをきっかけに、mnakadaさんがさらに拡張したツールキットをforkして開発・公開してくださっています。
mnakada/atomcam_tools

mnakadaさんのatomcam_toolsは、有線LANアダプタを動作させるために必要なカーネルモジュールが当初組み込まれていませんでしたが、Ver.1.3.8から組み込まれるようになりました。
そこで、これをさらにforkさせていただき、有線LANのみで動作するように修正してみました。
下記で公開しています。
atomcam_tools(有線LAN専用版)

atomcam2-amazonether

これによって、ATOM Cam 2から電波を出力することなく動作させることが可能となったので、レンズの交換などの改造を行える環境が整いました。